1.特定技能とは?
改正入管法(2018年12月8日成立)で設定された新しい在留資格で、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類が有ります。
これまでは基本的に許されていなかった単純労働が可能で、詳細は法務省令によって決定されます。
「特定技能1号」への移行は、2つのルートが有ります。1つ目は、技能実習生2号または3号修了からのルートです。無試験での移行が可能です。2つ目は、試験合格によるルートです。試験(資格取得試験)としては、技能(筆記、実技)と日本語(日本語能力判定テストまたは日本語能力試験N4以上)があります。滞在期間は最長で5年です。また、家族の帯同は許可されません(ただし、例外があります)。
※介護分野においては、EPA(経済連携協定)からの移行も可能となりました(2019.5.10)。
「特定技能2号」への移行は、「特定技能1号」から試験合格(技能の実技試験等)により可能になる予定です。滞在期間は更新が可能で、家族の帯同(配偶者、子供)が許可されます。日本に10年以上滞在することで、永住への道も開けます。ただし、「特定技能2号」の受け入れは、数年間行われない見通しとなっています。《特定技能2号の不確定情報》
・試験合格すれば、特定技能1号経由の必要なし?
・日本語能力試験N2以上も必要?
「特定技能1号」、「特定技能2号」のどちらの場合でも、①報酬額が日本人と同等以上、②一時帰国希望時の休暇付与、③契約満了時の出国措置確保(帰国旅費確保)、等の雇用契約を義務付けられています。
2.具体的な受け入れ分野
現状では、以下。
- 具体的な受け入れ分野は、法相が各分野の所管閣僚らと策定する「分野別運用方針」で定める。
- 人手が充足した場合には、受け入れを一時停止する。
<1号:12業種、うち2号:2業種>
介護、ビルクリーニング、農業、漁業、飲食料品製造業、
外食業、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、
建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業
※「入管庁などは、2号の対象に11分野を追加し、計13分野にする方向で調整している」との記事(2021年11月17日日経新聞)が出ました。ただし、日本の介護福祉士資格を取れば在留延長などが可能な介護分野は、対象外となっています。2022年3月に正式決定の予定です。(2021.11.18)
※製造3分野(素形材産業分野、産業機械製造業分野、電気・電子情報関連産業分野)は、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野に、統合されました。(2022.5.25)
ここで、技能実習の分野は、以下となっています。
技能実習の分野と特定技能の分野の対応付けが必要になります。
農業、漁業、建築、食品製造、繊維・衣服、機械・金属、空港グランドハンドリング、その他
また、農業・漁業分野での受け入れについては派遣形態での受け入れが可能で、異なる分野間で技能に類似性が認められる場合には転職が可能、とされています。
受入れ分野に「小売業(コンビニ含む)」も含めるように、小売業団体から要望が出ています。
3.「技能試験」実施スケジュール
1)特定技能1号
2019年4月~:宿泊業、介護業、外食業
2019年10月~:飲食料品製造業
2019年秋以降:ビルクリーニング業
2019年末または2019年度末~:その他9業種
2)特定技能2号
2022年~:建設業、造船/舶用工業、その他
4.「技能試験」情報
0)日本語能力判定テスト
・国外9カ国(ベトナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイ、ミャンマー、カンボジア、ネパール、モンゴル)で年6回程度実施予定。初回の試験は2019年4月にフィリピンでおこなわれた。その後、フィリピンでは複数回行なわれています。他の国(カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル)での具体的な実施日が公表されました(2019年7月16日)。
・独立行政法人国際交流基金が実施主体となり、コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式でおこなわれる。
国際交流基金日本語基礎テスト
※日本語能力判定テストの代わりに、日本語能力試験(JLPT)のN4以上でも良いことになっている。
1)宿泊業技能測定試験
・国外、国内でそれぞれ年2回程度実施予定。初回の試験は2019年4月14日で、留学生などを対象として国内で実施される(ただし、ベッドメイキングは、宿泊業の対象外)。
一般社団法人 宿泊業技能試験センター
2)外食業技能測定試験、飲食料品製造業技能測定試験
・国外、国内でそれぞれ年2回程度実施予定。初回の試験は2019年4月で、留学生などを対象として国内で実施される。
・受験者は、申請時に飲食物調理主体又は接客主体を選択する。
外食業と飲食料品製造業の国内・国外試験情報
外食業技能測定試験学習用テキストはこちらから
コック、パティシエを考えている方は、以下も検討してみて下さい。
日本の食文化海外普及人材育成事業について
3)飲食料品製造業技能測定試験
外食業と飲食料品製造業の国内・国外試験情報
飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験の学習用テキストはこちらから
4)介護技能評価試験
・まずは、国外で実施予定。初回の試験は2019年4月にフィリピンで実施された。その後、フィリピンで複数回行なわれている。他の国(カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル)での具体的な実施日も決まった(2019年7月19日)。日本語能力判定テストと抱き合わせでおこなわれる模様。
介護分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)について
介護技能評価試験・介護日本語評価試験の学習用テキスト(日本語版)
5)ビルクリーニング分野特定技能評価試験
ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験(全国ビルメンテナンス協会)
6)航空分野特定技能1号評価試験
日本航空技術協会
7)自動車整備分野特定技能評価試験
自動車整備分野特定技能評価試験(日本自動車整備振興会連合会)
8)製造分野特定技能1号評価試験
・国外5か国(ベトナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイ)で実施予定。
・現地語を使用し、学科試験と実技試験を実施。
・19試験区分あり(鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金、めっき、アルミニウム陽極酸化処理、仕上げ、機械検査、機械保全、電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造、プラスチック成形、 塗装、溶接、工業包装)。
・2020年1月30日, 31日に、インドネシア(スラバヤ)で 溶接(手溶接、半自動溶接)の実施が決定。
製造分野特定技能1号評価試験
5.各種公開資料、リンク
0)首相官邸 外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議
1)法務省 新たな外国人材受入れ(在留資格「特定技能」の創設等)
2)経済産業省 外国人材(製造業)
製造3分野ポータルサイト
3)農林水産省 外食業分野における外国人材の受入れについて
4)国土交通省 建設分野における新たな外国人材の受入れ
造船・舶用工業分野における新たな外国人材の受入れ
造船・舶用工業分野における説明会
宿泊分野における新たな外国人材受入れ
航空分野における新たな外国人材の受入れ
自動車整備分野における「特定技能」の受入れ
5)厚生労働省 介護分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)について
第1回ビルクリーニング分野特定技能協議会
6)日本年金機構 新たな在留資格「特定技能」制度の申請に際して必要となる社会保険関係の書類交付について
7)金融庁 外国人の受入れ・共生に関する金融関連施策について
8)千葉県 千葉県外国人介護人材支援センター
9)JITCO 在留資格「特定技能」とは
送出し国・送出機関とは