電気工事業法(正式名は「電気工事業の業務の適正化に関する法律」)により、電気工事業を営もう(開業しよう)とする者は、都道府県(千葉県等)または国に申請等(登録・届出・通知)の手続きを行う必要があります。
1.電気工作物の種類
申請等の手続きの方法は、電気工事業の種類(4種類)により異なっています。また、電気工事業の種類は、扱う電気工作物の種類と建設業許可の有無によって変わってきます。
そこで、まずは電気工作物の種類について以下に説明します。
電気事業法において、電気工作物は次のように分類されています。しかしながら、電気工事業に関係する電気工作物は、「一般用電気工作物」及び「自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備のみ)」です。(下図の青色の部分)
「電気事業の用に供する電気工作物」や、「自家用電気工作物のうち最大電力500kW以上の需要設備など」は、これらの設備の設置者が電気保安に関する十分な知識を有しており、電気工事業者の選定を含め、電気工事に関して十分的確に保安を確保できる体制にあると考えられることなどから、電気工事士法及び電気工事業法の対象から除外されています。
一般用電気工作物及び自家用電気工作物について、もう少し詳しく説明します。
1)一般用電気工作物
600V以下の電圧で受電し、その受電場所と同一の構内で電気を使用する電気工作物です。一般には、一般家屋、商店等の屋内配線設備などの電気工作物が該当します。
また、上記と同一の構内に設置される太陽光発電システム等の小出力発電設備(600V以下で出力が概ね50kW未満の設備)も一般用電気工作物となります。
2)自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)
自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)とは、電気事業法に規定する自家用電気工作物のうち、最大電力500kW未満の需要設備をいいます。一般には、中小ビルの需要設備などの電気工作物が該当します。
2.電気工事業者の種類
電気工事業者は、施工する電気工作物の種類と建設業許可取得の有無により、4通りの電気工事業者に分類されます。
1)登録電気工事業者
電気工事業法の規定による登録を受けた一般用電気工作物のみ又は一般用電気工作物及び自家用電気工作物に係る電気工事業を営む者をいいます。
登録の有効期間は5年間となりますので、5年ごとに更新登録をする必要があります(更新登録の申請は、有効期間満了日の1か月前から受付)。
2)みなし登録電気工事業者
建設業法の許可を受けた建設業者であって、電気工事業法の規定による登録を受けたとみなされる一般用電気工作物のみ又は一般用電気工作物及び自家用電気工作物に係る電気工事業を営む者をいいます。
建設業許可を更新するつど、建設業許可番号の変更届出が必要となります。
3)通知電気工事業者
電気工事業法の規定による通知をした自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む者をいいます。
4)みなし通知電気工事業者
建設業法の許可を受けた建設業者であって、電気工事業法の規定による通知をしたとみなされる自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む者をいいます。
3.主任電気工事士の設置
登録電気工事業者は、一般用電気工作物に係る電気工事の業務を行う営業所ごとに、「専任」の主任電気工事士を置かなければなりません。
<主任電気工事士になるための条件>
①第一種電気工事士 または
②第二種電気工事士で免状取得後3年以上の実務経験を有するもの
<主任電気工事士の職務>
「一般用電気工事による危険及び障害が発生しないように一般用電気工事の作業の管理」をすることにあり、具体的には以下になります。
(1)配線図の作成及び変更、またはそのチェックをすること
(2)一般用電気工事が法律等に違反しないように管理すること
・電気工事士でない者が電気工事の作業に従事しないことの監視
・表示のない電気用品の使用の監視
・危険等防止命令を受けた場合のその遵守
・電気関係法規の遵守
(3)立入検査を受ける場合の立ち会い
(4)一般用電気工事の検査結果の確認
(5)帳簿の記載上の管理監督
(6)その他一般用電気工事に関する一般的な管理監督
4.器具の備付け
電気工事業者は、営業所ごとに、以下の検査用器具を備えなければなりません。
5.標識の掲示
電気工事業者は、営業所及び電気工事の施工場所ごとに、見やすい場所に、氏名又は名称、登録番号等の事項を記載した標識を掲げなければなりません。
6.帳簿の備付け
電気工事業者は、営業所ごとに帳簿を備え、業務に関し以下の事項を記載し、5年間保存しなければなりません。
①注文者の氏名又は名称及び住所
②電気工事の種類及び施工場所
③施工年月日
④主任電気工事士等及び作業者の氏名
⑤配線図
⑥検査結果
7.申請先
申請先は、営業所の所在地が、1つの都道府県内のみか複数の都道府県にまたがるかにより異なってきます。
営業所が1つの都道府県内のみの場合・・・営業所住所地の都道府県知事
営業所が複数の都道府県にまたがる場合・・・国(経済産業大臣又は各産業保安監督部長)
8.申請書類
申請書類は、電気工事業者の種類によって異なってきます。
例として、登録電気工事業者(千葉県)の場合を以下に示します。
1)登録電気工事業者
- 登録電気工事業者登録申請書
- 手数料(手数料は自治体によって異なりますが、千葉県の場合は22,000円)
- 申請者の住民票(個人)又は登記事項証明書(法人)
- 登録申請者の誓約書
- 主任電気工事士の雇用証明書
- 主任電気工事士の電気工事士免状の写し
- 主任電気工事士等実務経験証明書(主任電気工事士が第二種電気工事士の場合)